ユングラウヨッホ その1
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(Berner Oberland 4/6) |
8/29 水 曇り時々雨
29 August 2007
ユングラウヨッホ
西風でかつ西の空は雲が薄い。また、ユングラウヨッホの鉄道に乗らなければ一泊二泊してもグリンデルワルドに来た気がしない。
朝のショッピング・モードから、いきなり登山モードになったので、下調べしたユングラウヨッホへの時刻表は持っていなかった。ただ、時刻表を見た微かな記憶で、2時30分頃の電車があったと思い。駅に向かった。案の定 14:32 発の電車があり、発券も間に合った。ただ、ここの切符も黙っていると往復切符になるから、ラウターブルネンに降りる場合は注意が必要だ。もちろん、「スイス半額カード」は使えた。いきなり乗り換え?
グリンデルワルドを出発して間もなく、グルント Grund 駅に到着。何とほとんどの乗客が降りてしまった。車両には私たち夫婦のみ。しかも、列車は何時までも停車したまま。え”?
鉄道職員とおぼしき人に訊いたら、この列車に乗っていれば良いのだとのこと。英語の通じやすい観光地でよかった。しばらくすると、スイッチバックして逆方向に列車は進み出した。そして、クライネ・シャイデック Kleine Scheidegg 2061mに到着。さて、乗り換えであるが、駅ビルの向こう側に登山鉄道は停まっていた。しかし、2〜3編成停まっている。どれもユングラウヨッホとレールがつながっている。ユングラウヨッホに近い場所に停車中の列車かと思えばさにあらず。駅の奥の方、手前のホームに停車している列車がそうだった。観光客の会話を聞いていると2時45分発とのことだったが、時刻表を持っていないし、この時点では駅の黄色い時刻表の場所もわからなかった。トイレに行っている間に発車しないか心配しながらトイレを済まして列車に乗った。
21年前のユングラウヨッホの鉄道は、ちゃんと帽子をかぶって制服を着た車掌の検札があった。ところが、何か体育の先生みたいなラフな格好の職員が切符の検札に来た。様変わりしていた。
それ以外の記憶は消え去っている。トンネルに入ってから途中5分の停車があって、アイガーの垂直で壮大な崖や、氷河を観ることも記憶になかった。ユングラウヨッホ
ユングラウヨッホに到着した。賭ははずれた。途中停車した3つの駅では霧はなかったが、ここは完全に霧に覆われている。しかも、到着時点は雪が降っていた。駅のベランダの外に出たが、鳥が二種類いたくらいであって、そそくさと室内にもどった。
エレベーター乗って。天文台の展望台に出た。一面霧が立ちこめて何も見えない。真下の岩が、金属製の床から透けて見えるくらいである。21年前と同じである。この場所は憶えていた。21年前の私は怖くて隅まで行けなかったが、今の私はどうも無かった。家内は真剣に怖がっていたが・・・。
エレベーターを降りて、外に出た。パック旅行の21年前はここには来れなかった。一面銀世界である。一面の霧でもあるが・・・。天文台が観たくて、雪の中を歩いた。少しベタベタした雪である。本日は休業(休止)のようであるが、ここでスキーやソリが楽しめ。さらには、宙づりで滑空するチロリンヌや犬ぞりのアトラクションがある。そういえば、ここまで来るトンネルに犬をつなぐ場所があった。
さらに、メンフィスヨッホヒュッテに通じる道がある。スキー場の範囲を歩いただけであるが、これならメンフィスヨッホヒュッテまでのトレッキングは私にも可能だと思った。次回来たら挑戦しよう。天候の急変に備えてた準備は注意が必要だろうなぁ。
さて、何とか天文台の写真も撮り、トンネルに戻ってきた。さっきは気づかなかったが、ガイドブックで読んだEメール送信装置があった。どうも、あらかじめ用意してある写真を選んで添付して、宛先とメッセージを入力するだけのもののようである。
時刻表を見ると、16:45 の次は 18:05 の列車。前者なら急がなくてはならない。まだ、氷のモニュメントも観ていないし、ショッピングもしていない。しかし、帰ることにした。一瞬視界が晴れるのを粘り強く待つ選択肢もあったのだるが、アイガークレッチャー Eigergletcher からクライネシャイデック Kleine Scheidegg へのトレッキングもしたかった。クライネシャイデック Kleine Scheidegg へのトレッキング
時差ボケで夜に眠れていないので、帰りの登山鉄道のトンネル部分は眠ってしまった。トンネルを抜けて明るくなったところで目が覚め、列車はアイガークレッチャー Eigergletcher に停車した。アイガークレッチャー Eigergletcher からクライネ・シャイデック Kleine Scheidegg までハイキングする予定だった。さて、降りると駅員がここにステイするのか?と降車した私たちを怪訝な表情でたずねてきた。歩いてクライネ・シャイデックKleine Scheideggまで降りるのだと言うと納得してくれた。同じことをするカップルもいた。彼らがいないとこの先不安になっていただろう。
「地球の歩き方」などにお勧めトレッキングコースとして紹介してあるが、とんでもなかった。まず、駅から階段で降りようとしたとき、ロープが張ってあった。これが象徴的だった。牛よけだったかも知れないが・・・。(後日談であるが、「るるぶ スイス'08」の地図を見ると間違った方向に降りたようである)
ともかく、駅の脇のシベリアンハスキーの飼育場の横を通って、トレッキングの開始。少し下り坂がきついが、アイガーの壁が後ろに迫り、眺めも良い。クライネ・シャイデックの駅もすぐそこに見えている。線路から離れない限りで迷う心配も少なそう。
しかし、トレイルを外れたのか道は整備されていないし、杖が必要なほどの急勾配もある。大雨の時、水が流れる自然の溝のようなところを下ることもある。これは本当にトレイルなんだろうか? 工事中の箇所を通過することも何度かあった。標識もない。登山鉄道の線路をまたぐこともある。ここを観光客がトレッキングすることは想定されていないような感じだった。
ともかく、クライネ・シャイデックまで歩いて降りてきた。ここから、グリンデルワルドへ降りる列車は、ユングラウヨッホから降りてくる最終列車に接続する 18:48 まで待たなくてはならない。ショッピングを楽しもうとしたら、全ての店が閉店した後である。RUGEN BRAU の黒ビール
レストランは開いていたので、ビールを飲んで時間をつぶした。ビールは地元の RUGEN BRAU の黒ビールで、ユングラウ地方滞在中ここでしか飲む機会がなかった。黒ビール派の私には嬉しかった。しっかりした苦みとコクがあって、黒ビールによくある嫌みや甘さを抑えたビールだった。黒なのにすっきりして、軽い感じすらする。プラハのウーフレクー U Fleku のビールを思い出した。
こういう待ち時間は一向に退屈でない。むしろ、ゆったりしに来たのであるし、今後の旅程を確認したりしているとすぐに時間が過ぎる。とくに、外国の旅先は地名を憶えたり確認することが大変である。クライネ・シャイデック、アイガークレッチャーなど現地滞在中はうろ覚えでガイドブックや旅程表を確認しながらの旅行である。
グリンデルワルド行きの列車がホームに入ってきた。グリンデルワルドまでの景色もやはり素晴らしかったが、もう写真を撮るような気分ではなかった。景色に慣れてきて、はしゃぐような気分は落ち着いてきた。むしろ、目を懲らしてキョロキョロして一生懸命写真を撮っている観光客が異様に見えた。午前中の私もこんなのだったのだろう。トマト・フォンデュ
夕食は今朝家内が見つけたトマト・フォンデュのある Barry's に行った。至近距離に二つのメニューがあるが、別の店である。右側のドアから入り、奥の階段を二階に上がる。少し、不安を抱きながら階段を登った。日本語メニューに「とんかつ定食」などと書いてあったのも不安の要因の一つだった。本当に美味しい地元料理が楽しめるのか?日本人ばかりではないか?
しかし、階段をあがるにつれ、民族音楽の演奏が聞こえてきて、不安は期待に変わった。ほぼ満席で流行っている。また、今日水曜日は生演奏のある日である。7時過ぎの入店だが、9時までに食事を終わる条件で席を案内された。フォンデュを食べても時間は大丈夫かときいたら大丈夫とのことだった。道路脇のメニューを十分見ていたので、すぐにトマト・フォンデュとスパークリング・ワインを注文した。
30フラン程度のスパークリング・ワインの炭酸とほのかな酸味と甘みは心地よく、トマト・フォンデュもすぐに出てきて、舌鼓を打った。トマト・フォンデュにこだわったのは、珍しいということよりも、昨年、日本でチーズ・フォンデュを食べたとき、たまたま臭いと形容できるような異様で味でクセのあるフォンデュがトラウマのようなものになっていたからである。ピザなどをみても、トマト系の味と熱したチーズにをうまくあいそうだし、熱したチーズの臭いやクセも消してくれそうだ。
男女二人によるヨーデルや生演奏を間近に楽しみながら、トマトフォンデュとスパークリングワインを堪能した。
トマトフォンデュだけの注文で、しかも美味しかったので、1時間半ほどで十分堪能できた。ホテルへの帰路は、フィルスト行きのゴンドラの入り口付近から斜め奥に伸びる細い道を進む。夜間照明が不十分で懐中電灯がなければ歩けない道だった。このことを考えると町中のホテルでもよかったのであるが、部屋からの眺めを楽しんだり、ベランダで静かにたたずむには不向きである。
【グリンデルワルドGrindelwald泊】(キルヒビュール Hotel Kirchbuhl)
※Grindelwald
はドイツ語の読み方に統一するとグリンデルヴァルトと表記すべきだが、英語読みが一般に流布しているのであえて英語読みにした。
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