妙法蓮華経妙音菩薩品二十四


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科段

化他流通三昧乗乗

光を放って東召す

命を奉じて西来す

◎発来の縁

○経家の福慧を叙す
○光明を被る
○本仏を辞す
○至誠にせよと誡む
○仏旨を受く
○現来の相

◎正発来

○眷属と経歴す
○相と登臺とを叙す
○問訊して旨を伝う
○多宝を見んと請う
○世尊為に通ず
○塔頭善と称す

十方の弘経

◎善根神力を問答す

○華得の問

 △善根を問う
 △神力を問う

○如来の答

 △善根を答う
 △神力を答う

◎今何の三昧に住せるかを問答す

○華得の問
○如来の答

二十の得益

本国に還帰す

此の品を聞いて道を進む

流通分・付嘱流通三・次化他流通四・次勗受命弘法弟子・三昧乗乗二・次妙音品

妙法蓮華経妙音菩薩品第二十四

放光東召 (光を放って東召す)

爾時釈迦牟尼仏。放大人相。肉髻光明。及放眉間。白毫相光。・照東方。百八万億那由他恒河沙等。諸仏世界。過是数已。有世界。名浄光荘厳。其国有仏。号浄華宿王智如来。応供。正ェ知。明行足。善逝。世間解。無上士。調御丈夫。天人師。仏。世尊。為無量無辺。菩薩大衆。恭敬圍繞。而為説法。釈迦牟尼仏。白毫光明。ェ照其国。

 爾の時に釈迦牟尼仏、大人相の肉髻の光明を放ち、及び眉間白毫相の光を放って、遍く東方百八万億那由他恒河沙等の諸仏の世界を照しまもう。是の数を過ぎ已って、世界あり浄光荘厳と名く。其の国に仏います、浄華宿王智如来・応供・正遍知・明行足・善逝・世間解・無上士・調御丈夫・天人師・仏・世尊と号けたてまつる。無量無辺の菩薩大衆の恭敬し圍繞せるを為て、為に法を説きたもう。釈迦牟尼仏の白毫の光明、遍く其の国を照したもう。

 

奉命西来 (命を奉じて西来す)

◎発来縁 (発来の縁)

○経家叙福慧 (経家の福慧を叙す)

 △福田

爾時一切。浄光荘厳国中。有一菩薩。名曰妙音。久已植衆徳本。供養親近。無量百千万億諸仏。

 爾の時に一切浄光荘厳国の中に一りの菩薩あり、名を妙音という。久しく已に衆の徳本を植えて、無量百千万億の諸仏を供養し親近したてまつりて、

 

 △智慧

而悉成就。甚深智慧。

 悉く甚深の智慧を成就し、

 

 △福徳

得妙幢相三昧。法華三昧。浄徳三昧。宿王戯三昧。無縁三昧。智印三昧。解一切衆生語言三昧。集一切功徳三昧。清浄三昧。神通遊戯三昧。慧炬三昧。荘厳王三昧。浄光明三昧。浄蔵三昧。不共三昧。日旋三昧。得如是等。百千万億。恒河沙等。諸大三昧。

 妙幢相三昧・法華三昧・浄徳三昧・宿王戲三昧・無縁三昧・智印三昧・解一切衆生語言三昧・集一切功徳三昧・清浄三昧・神通遊戲三昧・慧炬三昧・荘厳王三昧・浄光明三昧・浄蔵三昧・不共三昧・日旋三昧を得、是の如き等の百千万億恒河沙等の諸の大三昧を得たり。

 

○被光明 (光明を被る)

釈迦牟尼仏。光照其身。

 釈迦牟尼仏の光其の身を照したもう。

 

○辞本仏 (本仏を辞す)

即白浄華宿王智而仏言。世尊。我当往詣。娑婆世界。礼拝親近。供養釈迦牟尼仏。及見文殊師利法王子菩薩。薬王菩薩。勇施菩薩。宿王華菩薩。上行意菩薩。荘厳王菩薩。薬上菩薩。

即ち浄華宿王智仏に白して言さく、世尊、我当に娑婆世界に往詣して、釈迦牟尼仏を礼拝し親近し供養し、及び文殊師利法王子菩薩・薬王菩薩・勇施菩薩・宿王華菩薩・上行意菩薩・荘厳王菩薩・薬上菩薩を見るべし。

 

○誡至誠 (至誠にせよと誡む)

爾時浄華宿王智仏。告妙音菩薩。汝莫軽彼国。生下劣想。善男子。彼娑婆世界。高下不平。土石諸山。穢悪充満。仏身卑小。諸菩薩衆。其形亦小。而汝身。四万二千由旬。我身六百八十万由旬。汝身第一。端正百千万福。光明殊妙。是故汝往。莫軽彼国。若仏菩薩。及国土。生下劣想。

 爾の時に浄華宿王智仏、妙音菩薩に告げたまわく、汝彼の国を軽しめて下劣の想を生ずることなかれ。善男子、彼の娑婆世界は高下不平にして、土石・諸山・穢悪充満せり。仏身卑小にして、諸の菩薩衆も其の形亦小なり。而るに汝が身は四万二千由旬、我が身は六百八十万由旬なり。汝が身は第一端正にして百千万の福あって光明殊妙なり。是の故に汝往いて、彼の国を軽しめて若しは仏・菩薩及び国土に下劣の想を生ずることなかれ。

 

○受仏旨 (仏旨を受く)

妙音菩薩。白其仏言。世尊。我今詣娑婆世界。皆是如来之力。如来神通遊戯。如来功徳。智慧荘厳。

 妙音菩薩、其の仏に白して言さく、世尊、我今娑婆世界に詣らんこと、皆是れ如来の力・如来の神通遊戲・如来の功徳智慧荘厳ならん。

 

○現来相 (現来の相)

 △遣蓮華

於是妙音菩薩。不起于座。身不動揺。而入三昧。以三昧力。於耆闍崛山。去法座不遠。化作八万四千。衆宝蓮華。閻浮檀金為茎。白銀為葉。金剛為鬚。甄淑迦宝。以為其臺。

 是に妙音菩薩、座を起たず身動揺せずして三昧に入り、三昧力を以て耆闍崛山に於て法座を去ること遠からずして、八万四千の衆宝の蓮華を化作せり。閻浮檀金を茎とし、白銀を葉とし、金剛を鬚とし、甄叔迦宝を以て其の臺とせり。

[解説]

耆闍崛山(ぎしゃくせん) 霊鷲山(りょうじゅせん)のこと。王舎城(ラジギール)にある小高い山。サンスクリット原語を音写すると耆闍崛山となり、漢訳すれば鷲峰となる。山の形から鷲峰となったとも言われる。

 

 △文殊問

爾時文殊師利法王子。見是蓮華。而白仏言。世尊。是何因縁。先現此瑞。有若干千万蓮華。閻浮檀金為茎。白銀為葉。金剛為鬚。甄淑迦宝。以為其臺。

 爾の時に文殊師利法王子、是の蓮華を見て、仏に白して言さく、世尊、是れ何の因縁あってか先ず此の瑞を現ぜる。若干千万の蓮華あって、閻浮檀金を茎とし、白銀を葉とし、金剛を鬚とし、甄叔迦宝を以て其の臺とせり。

 

 △如来答

爾時釈迦牟尼仏。告文殊師利。是妙音菩薩摩訶薩。欲従浄華宿王智仏国。与八万四千菩薩圍繞。而来至此。娑婆世界。供養親近。礼拝於我。亦欲供養。聴法華経。

 爾の時に釈迦牟尼仏文殊師利に告げたまわく、是れ妙音菩薩摩訶薩、浄華宿王智仏の国より、八万四千の菩薩の圍繞せると、而も此の娑婆世界に来至して、我を供養し親近し礼拝せんと欲し、亦法華経を供養し聴きたてまつらんと欲せるなり。

 

 △文殊請

文殊師利。白仏言世尊。是菩薩。種何善本。修何功徳。而能有是大神通力。行何三昧。願為我等。説是三昧名字。我等亦欲。勤修行之。行此三昧。乃能見是菩薩。色相大小。威儀進止。唯願世尊。以神通力。彼菩薩来。令我得見。

 文殊師利、仏に白して言さく、世尊是の菩薩は何なる善本を種え何なる功徳を修して、能く是の大神通力ある、何なる三昧を行ずる。願わくは我等が為に是の三昧の名字を説きたまえ。我等亦之を勤め修行せんと欲す。此の三昧を行じて、乃ち能く是の菩薩の色相の大小・威儀・進止を見ん。唯願わくは世尊神通力を以て、彼の菩薩の来らんに我をして見ることを得せしめたまえ。

 

 △推功於多宝

爾時釈迦牟尼仏。告文殊師利。此久滅度。多宝如来。当為汝等。而現其相。

 爾の時に釈迦牟尼仏、文殊師利に告げたまわく、
 此の久滅度の多宝如来、当に汝等が為に而も其の相を現じたもうべし。

 

 △多宝命来

時多宝仏。告彼菩薩。善男子来。文殊師利法王子。欲見汝身。

 時に多宝仏、彼の菩薩に告げたまわく、
 善男子来たれ、文殊師利法王子汝が身を見んと欲す。

 

◎正発来

○眷属と経歴す

于時妙音菩薩。於彼国没。与八万四千菩薩。倶共発来。所経諸国。六種震動。皆悉雨於。七宝蓮華。百千天楽。不鼓自鳴。

 時に妙音菩薩、彼の国に於て没して、八万四千の菩薩と倶共に発来す。所経の諸国六種に震動して、皆悉く七宝の蓮華を雨らし、百千の天楽鼓せざるに自ら鳴る。

 

○叙相登臺 (相と登臺とを叙す)

是菩薩。目如広大。青蓮華葉。正使和合。百千万月。其面猊端正。過復於此。身真金色。無量百千。功徳荘厳。威徳熾盛。光明照曜。諸相具足。如那羅延。堅固之身。入七宝臺。上昇虚空。去地七多羅樹。諸菩薩衆。恭敬圍繞。而来詣此。娑婆世界。耆闍崛山。

 是の菩薩の目は広大の青蓮華の葉の如し、正使百千万の月を和合せりとも、其の面猊端正なること復此れに過ぎん。身は真金の色にして、無量百千の功徳荘厳せり。威徳熾盛にして光明照曜し、諸相具足して那羅延の堅固の身の如し。七宝の臺に入って虚空に上昇り、地を去ること七多羅樹、諸の菩薩衆恭敬し圍繞して、此の娑婆世界の耆闍崛山に来詣す。

[解説]

耆闍崛山(ぎしゃくせん) 霊鷲山(りょうじゅせん)のこと。王舎城(ラジギール)にある小高い山。サンスクリット原語を音写すると耆闍崛山となり、漢訳すれば鷲峰となる。山の形から鷲峰となったとも言われる。

 

○問訊伝旨 (問訊して旨を伝う)

到已下七宝臺。以価直百千瓔珞。持至釈迦牟尼仏所。頭面礼足。奉上瓔珞。而白仏言。世尊。浄華宿王智仏。問訊世尊。少病少悩。起居軽利。安楽行不。四大調和不。世事可忍不。衆生易度不。無多貪欲。瞋恚愚痴。嫉妬慳満不。無不孝父母。不敬沙門。邪見不善心。不摂五情不。世尊。衆生能降伏。諸魔怨不。久滅度多宝如来。在七宝塔中。来聴法不。又問訊多宝如来。安穏少悩。堪忍久住不。

 到り已って七宝の臺を下り、価直百千の瓔珞を以て、持って釈迦牟尼仏の所に至り、頭面に足を礼し瓔珞を奉上して、仏に白して言さく、
 世尊、浄華宿王智仏、世尊を問訊したもう、
 少病少悩起居軽利にして安楽に行じたもうや不や。四大調和なりや不や。世事は忍びつべしや不や。衆生は度し易しや不や。貪欲・瞋恚・愚痴・嫉妬・慳満多きことなしや不や。父母に孝せず、沙門を敬わず、邪見不善の心にして五情を摂めざることなしや不や。世尊、衆生は能く諸の魔怨を降伏するや不や。久滅度の多宝如来は七宝塔の中に在して、来って法を聴きたもうや不や。
 又多宝如来を問訊したたもう、安穏少悩にして堪忍し久住したもうや不や。

 

○請見多宝 (多宝を見んと請う)

世尊。我今欲見。多宝仏身。唯願世尊。示我令見。

 世尊、我今多宝仏の身を見たてまつらんと欲す。唯願わくは世尊、我に示して見せしめたまえ。

 

○世尊為通 (世尊為に通ず)

爾時釈迦牟尼仏。語多宝仏。是妙音菩薩。欲得相見。

 爾の時に釈迦牟尼仏、多宝仏に語りたまわく、是の妙音菩薩相見たてまつることを得んと欲す。

 

○塔中称善 (塔中善と称す)

時多宝仏。告妙音言。善哉善哉。汝能為供養。釈迦牟尼仏。及聴法華経。竝見文殊師利等。故来至此。

 時に多宝仏、妙音に告げて言わく、善哉善哉、汝能く釈迦牟尼仏を供養し、及び法華経を聴き、竝に文殊師利等を見んが為の故に此に来至せり。

 

十方弘経 (十方の弘経)

◎問答善根神力 (善根神力を問答す)

○華得の問

爾時華徳菩薩。白仏言。

 爾の時に華徳菩薩、仏に白して言さく、

 

 △問種何善根 (善根を問う)・ △神力を問う

世尊。是妙音菩薩。種何善根。修何功徳。有是神力。

 世尊、是の妙音菩薩は、何なる善根を種え何なる功徳を修してか是の神力ある。

 

※ 底本巻末には△問種何善根 (善根を問う)・ △神力を問う に分類されるも、本文には分類なし

○如来答 (如来の答)

 △答善根 (善根を答う)

仏告華徳菩薩。過去有仏。名雲雷音王。多陀阿伽度。阿羅訶。三藐三仏陀。国名現一切世間。劫名憙見。妙音菩薩。於万二千歳。以十万種妓楽。供養雲雷音王仏。竝奉上八万四千七宝鉢。以是因縁果報。今生浄華宿王智仏国。有是神力。華徳。於汝意云何。爾時雲雷音王仏所。妙音菩薩。妓楽供養。奉上宝器者。豈異人乎。今此妙音菩薩摩訶薩是。華徳。是妙音菩薩。已曾供養親近。無量諸仏。久植徳本。又値恒河沙等。百千万億。那由他仏。

 仏、華徳菩薩に告げたまわく、
 過去に仏いましき、雲雷音王・多陀阿伽度・阿羅訶・三藐三仏陀と名けたてまつる。国を現一切世間と名け、劫を憙見と名く。妙音菩薩万二千歳に於て、十万種の妓楽を以て雲雷音王仏に供養し、竝に八万四千の七宝の鉢を奉上す。是の因縁の果報を以て、今浄華宿王智仏の国に生じて是の神力あり。華徳、汝が意に於て云何、爾の時の雲雷音王仏の所に、妙音菩薩として妓楽をもって供養し宝器を奉上せし者、豈に異人ならんや、今此の妙音菩薩摩訶薩是れなり。華徳、是の妙音菩薩は已に曾て無量の諸仏に供養し親近して、久しく徳本を植え、又恒河沙等の百千万億那由他の仏に値いたてまつる。

 

 △答神力 (神力を答う) 三十四凡身四聖人身

華徳。汝但見妙音菩薩。其身在此。而是菩薩。現種種身。処処為諸衆生。説是経典。或現梵王身。或現帝釈身。或現自在天身。或現大自在天身。或現天大将軍身。或現毘沙門天王身。或現転輪聖王身。或現諸小王身。或現長者身。或現居士身。或現宰官身。或現婆羅門身。或現比丘。比丘尼。優婆塞。優婆夷身。或現長者。居士婦女身。或現宰官婦女身。或現婆羅門婦女身。或現童男。童女身。或現天龍。夜叉。乾闥婆。阿修羅。迦楼羅。緊那羅。摩、羅伽。人非人等身。而説是経。諸有地獄。餓鬼。畜生。及衆難処。皆能救済。乃至於王後宮。変為女身。而説是経。華徳。是妙音菩薩。能救護娑婆世界。諸衆生者。是妙音菩薩。如是種種。変化現身。在此娑婆国土。為諸衆生。説是経典。於神通変化智慧。無所損減。是菩薩。以若干智慧。明照娑婆世界。令一切衆生。各得所知。於十方恒河沙世界中。亦復如是。若応以声聞形。得度者。現声聞形。而為説法。応以辟支仏形。得度者。現辟支仏形。而為説法。応以菩薩形。得度者。現菩薩形。而為説法。応以仏形。得度者。即現仏形。而為説法。如是種種。随所応度者。而為現形。乃至応以滅度。而得度者。示現滅度。華徳。妙音菩薩摩訶薩。成就大神通。智慧之力。其事如是。

 華徳、汝但妙音菩薩其の身此に在りとのみ見る。而も是の菩薩は種々の身を現じて、処処に諸の衆生の為に是の経典を説く。或は梵王の身を現じ、或は帝釈の身を現じ、或は自在天の身を現じ、或は大自在天の身を現じ、或は天大将軍の身を現じ、或は毘沙門天王の身を現じ、或は転輪聖王の身を現じ、或は諸の小王の身を現じ、或は長者の身を現じ、或は居士の身を現じ、或は宰官の身を現じ、或は婆羅門の身を現じ、或は比丘・比丘尼・優婆塞・優婆夷の身を現じ、或は長者・居士の婦女の身を現じ、或は宰官の婦女の身を現じ、或は婆羅門の婦女の身を現じ、或は童男・童女の身を現じ、或は天・龍・夜叉・乾闥婆・阿修羅・迦楼羅・緊那羅・摩・羅伽・人非人等の身を現じて是の経を説く。諸有の地獄・餓鬼・畜生及び衆の難処皆能く救済す。乃至王の後宮に於ては、変じて女身となって是の経を説く。華徳、是の妙音菩薩は能く娑婆世界の諸の衆生を救護する者なり。是の妙音菩薩は是の如く種々に変化し身を現じて、此の娑婆国土に在って諸の衆生の為に是の経典を説く。神通・変化・智慧に於て損減する所なし。是の菩薩は若干の智慧を以て明かに娑婆世界を照して、一切衆生をして各所知を得せしむ。十方恒河沙の世界の中に於ても亦復是の如し。若し声聞の形を以て得度すべき者には、声聞の形を現じて為に法を説き、辟支仏の形を以て得度すべき者には、辟支仏の形を現じて為に法を説き、菩薩の形を以て得度すべき者には、菩薩の形を現じて為に法を説き、仏の形を以て得度すべき者には、即ち仏の形を現じて為に法を説く。是の如く種々に度すべき所の者に随って為に形を現ず。乃至滅度を以て得度すべき者には滅度を示現す。華徳、妙音菩薩摩訶薩は大神通・智慧の力を成就せること、其の事是の如し。

 

◎問答今住何三昧 (今何の三昧に住せるかを問答す)

○華得問 (華得の問)

爾時華徳菩薩。白仏言。世尊。是妙音菩薩。深種善根。世尊。是菩薩。住何三昧。而能如是。在所変現。度脱衆生。

 爾の時に華徳菩薩、仏に白して言さく、
 世尊是の妙音菩薩は深く善根を種えたり。世尊、是の菩薩何なる三昧に住して、能く是の如く在所に変現して衆生を度脱する。

 

○如来答 (如来の答)

仏告。華徳菩薩。善男子。其三昧。名現一切色身。妙音菩薩。住是三昧中。能如是饒益。無量衆生。

 仏、華徳菩薩に告げたまわく、
 善男子、其の三昧を現一切色身と名く。妙音菩薩是の三昧の中に住して、能く是の如く無量の衆生を饒益す。

 

二十得益 (二十の得益)

説是妙音菩薩品時。与妙音菩薩倶来者。八万四千人。皆得現一切色身三昧。此娑婆世界。無量菩薩。亦得是三昧。及陀羅尼。

 是の妙音菩薩品を説きたもう時、妙音菩薩と倶に来れる者八万四千人、皆現一切色身三昧を得、此の娑婆世界の無量の菩薩、亦是の三昧及び陀羅尼を得たり。

 

還帰本国 (本国に還帰す)

爾時妙音菩薩摩訶薩。供養釈迦牟尼仏。及多宝仏塔已。還帰本土。所経諸国。六種震動。雨宝蓮華。作百千万億。種種妓楽。既到本国。与八万四千菩薩圍繞。至浄華宿王智仏所。而白仏言。世尊。我到娑婆世界。饒益衆生。見釈迦牟尼仏。及見多宝仏塔。礼拝供養。又見文殊師利法王子菩薩。及見薬王菩薩。得勤精進力菩薩。勇施菩薩等。亦令是八万四千菩薩。得現一切色身三昧。

 爾の時に妙音菩薩摩訶薩、釈迦牟尼仏及び多宝仏塔を供養し已って、本土に還帰す。所経の諸国六種に震動して、宝蓮華を雨らし、百千万億の種々の妓楽を作す。既に本国に到って、八万四千の菩薩の圍繞せると、浄華宿王智仏の所に至って、仏に白して言さく、
 世尊、我娑婆世界に到って衆生を饒益し、釈迦牟尼仏を見たてまつり、及び多宝仏塔を見たてまつりて礼拝供養し、又文殊師利法王子菩薩を見、及び薬王菩薩・得勤精進力菩薩・勇施菩薩等を見る。亦是の八万四千の菩薩をして現一切色身三昧を得せしむ。

 

聞此品進道 (此の品を聞いて道を進む)

説是妙音菩薩来往品時。四万二千天子。得無生法忍。華徳菩薩。得法華三昧

 是の妙音菩薩来往品を説きたもう時、四万二千の天子無生法忍を得、華徳菩薩法華三昧を得たり。

 



妙法蓮華経巻第七


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